私と車の物語:SUBARU LEGACY TURINGWAGON(2005-2006)

レガシィツーリングワゴン

こんにちは、畑岡です。

前回はポルシェ・ボクスターという特別なスポーツカーについてお話ししました。今回は人生の新たなスタートを切るために購入した、スバル・レガシィツーリングワゴンについて綴りたいと思います。

新しい生活の相棒

レガシィツーリングワゴン

2005年、私生活と仕事の両面で新たな転機を迎えていた私は、長く付き合える相棒として新車の購入を決意しました。選んだのは当時発売されていた「アルカンターラセレクション」という特別仕様車のレガシィツーリングワゴンです。

アルカンターラとは、スエード調の高級感あるファブリックのことで、シートをはじめとする内装の随所に使用されていました。通常のファブリックシートよりも高級感があり、かつ革シートよりも季節を問わず快適な座り心地を提供してくれるこの素材は、長距離ドライブでの疲労軽減にも一役買っていました。

外観は落ち着いたダークブルーで、派手さはないものの、洗練された大人のステーションワゴンという雰囲気がありました。当時のレガシィは、4代目のモデルにマイナーチェンジが施されたもので、ややシャープになったヘッドライトとクリアな印象のテールランプが特徴的でした。

水平対向エンジンの魅力

このレガシィの最大の魅力は、やはりスバルの代名詞とも言える水平対向エンジンにありました。一般的な直列エンジンとは異なり、左右に向かって水平にピストンが動くこの独特の構造は、振動が少なく、重心が低いという特性をもたらします。

実際に乗ってみると、その違いは歴然でした。エンジンの回転が上がっていくにつれて感じる軽やかさは、特に高回転域での滑らかさとなって現れます。5000回転を超えたあたりでも、不快な振動やノイズが少なく、むしろ心地よいサウンドとともにエンジンが伸びていく感覚がありました。

今思い返しても、私が乗った多くの車の中でも、このレガシィの水平対向エンジンの特性は特に印象に残るものであり、機会があれば再び乗ってみたいと思わせる魅力があります。

スポーティと実用性の見事な融合

シンプルかつ視認性がよいメーター

ステーションワゴンというと、「実用車」というイメージが強いものですが、このレガシィは「走る楽しさ」も同時に追求した車でした。運転席の着座位置が適度に低く設定されており、スポーツカーのようなドライビングポジションが取れるのに、乗り降りのしやすさは損なわれていないという、絶妙なバランスが印象的でした。

このバランス感覚こそ、スバルという自動車メーカーの特徴なのかもしれません。スバルの前身である富士重工業は、戦前・戦中に航空機を製造していた歴史があります。航空機設計においては、性能と実用性を高いレベルで両立させることが求められますが、その設計思想がクルマづくりにも反映されているのではないかと、当時の私は感じていました。

見た目はごく普通のステーションワゴンでありながら、ハンドルを握るとその走行性能の高さに驚かされるのは、まさにスバルらしさと言えるでしょう。カーブでのロール(横揺れ)が少なく、思い通りの走行ラインを描けるコーナリング性能も、長距離ドライブで楽しさをもたらしてくれました。

忘れられない東京-神戸ドライブ

このレガシィでの最も印象的な思い出は、東京から神戸への往復ドライブです。ビジネスと休暇を兼ねての旅でしたが、片道約500キロメートルの道のりを、疲労感をほとんど感じることなく走破できたことに驚きました。

東名高速道路から名神高速道路へと至るルートで、途中の山間部や起伏のある区間でも、レガシィは安定した走りを見せてくれました。特に印象に残っているのは、雨天時の高速走行での安心感です。スバルのAWD(全輪駆動)システムは、濡れた路面でもしっかりとグリップを確保し、他車が速度を落とすような状況でも余裕を持って走行できました。

関西での数日間の滞在中も、市街地から郊外まで様々な道を走る機会がありましたが、どんな状況でもストレスなく対応してくれる汎用性の高さに、改めてこの車の完成度の高さを実感したものです。

日常での使い勝手

実用車としての側面も、このレガシィの大きな魅力でした。広いラゲッジスペースは、ゴルフバッグや大きな荷物も難なく収納でき、後部座席を倒せばさらに大容量になります。日常の買い物から小旅行まで、幅広いシーンで活躍してくれました。

また、この時期のレガシィには、今では当たり前になった多くの快適装備や安全装備が搭載されていました。オートエアコンやクルーズコントロール、良質なオーディオシステムなどは長距離ドライブの疲労軽減に一役買っていましたし、SRSエアバッグやABSなどの安全装備も、当時としては充実していました。

個人的に気に入っていたのは、フロントウィンドウの視界の広さです。ピラー(柱)が細く設計されており、前方の視界を妨げる要素が少なかったのも、運転のストレスを減らす要因になっていたと思います。

別れとその後

シンプルだがこれ以上のものは必要がなく今でも印象に残っているセンターコンソール

結局、このレガシィとの時間も約1年で終わりを迎えることになりました。事業拡大に伴い、より大きな車への乗り換えが必要になったためです。しかし、短い期間でしたが、このレガシィとの日々は私の車遍歴の中でも特に充実したものとして記憶に残っています。

現在のスバル車も、その伝統を受け継ぎながら進化を続けていると聞きます。いつか機会があれば、現行のレガシィにも乗ってみたいと思わせる、それだけ印象深い車だったのです。

軽やかなエンジンフィール、実用性とスポーティさの共存、そして長距離ドライブでの疲れなさ。レガシィツーリングワゴンは、私にとって「理想的な一台」に最も近い車の一つだったのかもしれません。

おわりに

スバル・レガシィツーリングワゴンという車は、自動車メーカーの哲学やアイデンティティが色濃く反映された車だと感じました。単なる移動手段ではなく、設計者の思想や情熱が感じられるクルマは、乗る人に強い印象を残します。

私たちが車に求めるものは人それぞれですが、日常の実用性と走る楽しさの両立という、一見相反するニーズを高いレベルで満たしてくれたこの車は、自動車という製品の魅力を改めて教えてくれたように思います。


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