私と車の物語:ALPHARD EXECUTIVE LOUNGE(2019-2020)

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ALPHARD 20型 エグゼクティブラウンジ

こんにちは、畑岡です。

前回はマクラーレン540Cというスーパーカーについてお話ししました。今回は一転して、日本の高級ミニバンの頂点に立つ存在、トヨタ・アルファード ハイブリッド エグゼクティブラウンジについて綴りたいと思います。

異なる目的で選んだ一台

ALPHARD 20型 エグゼクティブラウンジ

2019年、ビジネスの状況が変化し、移動中にも仕事や打ち合わせをする機会が増えてきたことから、高級ミニバンの購入を思い立ちました。様々な選択肢を検討した結果、最高グレードのアルファード ハイブリッド エグゼクティブラウンジに決定。思い立ったらすぐ行動に移す性分の私は、ほとんど迷うことなく購入しました。

それまでの私の車遍歴は、「運転を楽しむ」ことを最優先に考えたものでした。スポーツカーやスーパーカーを中心に、ドライバーとしての喜びを追求してきたのです。しかし、このアルファードの購入は、「乗車する」ことに重点を置いた初めての選択でした。

自分自身の矛盾

購入後、すぐに気づいたのは、私自身の本質的な矛盾です。アルファードの2列目は高級感あふれるキャプテンシートを備え、オットマン機能やマッサージ機能など、まさに「動く応接室」としての設備が整っていました。しかし、生粋の運転好きである私は、結局ほとんどの時間をドライバーズシートで過ごすことになったのです。

「移動中に仕事をしたい」という当初の目的とは裏腹に、運転席と2列目を行き来するのは主に同乗者たち。自分自身が2列目に腰掛ける機会は、予想以上に少なかったのです。

結果として、このアルファードは私が運転するよりも、社員の送迎や接待用、あるいは社内スタッフが業務で使用するケースが大半を占めるようになりました。ある意味では「会社の共有財産」として、その真価を発揮していたと言えるでしょう。

日本の車文化を実感

2列目に座るより、自ら運転することが多かった、ALPHARD 20型 エグゼクティブラウンジ

アルファードを所有したことで、日本における独特の車文化について深く考えさせられました。なぜ日本でアルファードのような高級ミニバンが圧倒的に支持されているのか。その理由が、実際に所有してみて腑に落ちたのです。

日本の車文化は、欧米のように「運転する喜び」や「スピード感」を追求するのではなく、「車内での快適さ」や「くつろぎ」に重きを置いているように感じます。アルファードの内装は、まさに「自宅のリビングの延長線上」とも言える空間で、移動中も快適な時間を過ごすことができるよう設計されています。

例えば、高級感あふれる木目調のインテリアや、柔らかな照明、優れた遮音性能などは、まるで高級ホテルのスイートルームのような雰囲気を醸し出していました。特に印象的だったのは、高速道路での静粛性の高さです。エンジン音やロードノイズが極めて少なく、通常の会話がストレスなく行える環境は、移動時間の質を大きく向上させてくれました。

将来への示唆

アルファードとの1年間は、自分自身の将来についても考えるきっかけとなりました。「年を重ねて運転が億劫になったら、再びこのような車を購入するのも良いかもしれない」と思うようになったのです。

現在の私は運転することに大きな喜びを見出していますが、いつかは運転よりも乗車の快適さを優先する日が来るかもしれません。その時、アルファードのような車の価値を改めて実感することになるのでしょう。

また、送迎される側の視点を体験できたことも、貴重な経験でした。通常は自分が運転することが多い私にとって、後部座席から見る景色や、運転を気にせずにリラックスできる時間は、新鮮な発見に満ちていました。

文化としての「くつろぎ」

アルファードを所有して最も強く感じたのは、日本の自動車文化における「くつろぎ」の重要性です。欧州車が「走りの性能」を追求し、アメリカ車が「力強さとスケール感」を重視するなら、日本の高級車、特にミニバンは「移動中のくつろぎと快適さ」を極限まで追求しているように思います。

そこには日本特有の価値観が反映されているのではないでしょうか。限られた国土の中で長時間の移動を余儀なくされることも多い日本では、移動そのものを「時間の無駄」とせず、「価値ある時間」に変える工夫が発達したのかもしれません。

また、高級車というと欧米では「自分で運転する」ことを前提としたモデルが多いのに対し、日本では「送迎される」ことを想定した設計が多いのも興味深い点です。アルファードが「経営者の足」として人気を博しているのも、そうした文化的背景があるからこそなのでしょう。

おわりに

アルファード ハイブリッド エグゼクティブラウンジとの1年間は、私自身の車に対する価値観を広げてくれる経験となりました。「走る喜び」だけでなく「乗車する喜び」にも目を

向けるきっかけとなり、車との付き合い方の多様性を教えてくれました。

ビジネスツールとしても、また社内の共有財産としても、その役割を十分に果たしてくれたアルファード。それまでのスポーツカー中心の車遍歴の中では異色の存在でしたが、日本の自動車文化を理解する上で欠かせない一台だったと感じています。


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