私と車の物語:TOYOTA ISIS(2011-2015)

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トヨタ アイシス

こんにちは、畑岡です。

前回はフェラーリF430という情熱的なスポーツカーについてお話ししました。今回はそれまでの車遍歴とは大きく趣が異なる、トヨタ・アイシスという実用車について綴りたいと思います。

挫折からの再出発

ポルシェ911ターボとフェラーリF430という夢のような車を所有していた日々は、残念ながら長くは続きませんでした。会社の業績が徐々に悪化し、2007年にはついに両車を手放すことになりました。その後しばらくは車を所有せず、公共交通機関や時折のレンタカーでしのぐ日々が続きました。

ビジネスの再構築に取り組む中、2011年の引っ越しを機に、日常の足として車が必要になり、予算を考慮した結果、トヨタ・アイシスの中古車を77万円で購入することにしました。それまでのスポーツカーとは対極にある選択でしたが、当時の状況では最も現実的な決断だったと思います。

実用主義の車選び

トヨタ アイシス

アイシスは2004年から2017年までトヨタが製造・販売していたミニバンです。3列シートながらもコンパクトなボディサイズと、スライドドアを備えた使い勝手の良さが特徴でした。私が購入したのは2008年式の中古車で、すでに走行距離も多く、外観にも小さな傷が点在していましたが、機能的には問題ありませんでした。

当時の私にとっては、「移動するための道具」としての車が必要だったのであり、所有する喜びや走る楽しさを追求する余裕はありませんでした。そんな状況で選んだアイシスは、結果としてコストパフォーマンスの面で非常に満足できる車となりました。

驚くべき実用性

アイシスの最大の魅力は、そのスペース効率の良さにありました。全長4.4メートル程度のコンパクトなボディに、大人が十分に快適に過ごせる空間を確保していたのは、日本の自動車メーカーならではの巧みなパッケージングの賜物でしょう。

特に両側スライドドアは、狭い駐車場でも難なく乗り降りできるという大きなメリットがありました。また、後部座席の多彩なアレンジも実用的で、大きな荷物を運ぶ際にも重宝しました。事務所の移転の際には、大型の段ボール箱や小さな家具までもこの車で運んだことを覚えています。

2.0リッターのエンジンは決して力強いものではありませんでしたが、日常使用には十分な性能を発揮し、燃費も悪くはありませんでした。高速道路での追い越し加速にはやや物足りなさを感じることもありましたが、普段の使用で不満を覚えることはほとんどありませんでした。

会社再起動の相棒

苦しい時期を支えてくれた思い出の車であり、街で見かけると10年以上経過した今でも当時の記憶が蘇ってくる

アイシスとの4年間は、私の会社にとって再起動の重要な時期と重なっていました。経営の立て直しのため、顧客訪問や新規開拓の営業、展示会への参加など、移動を伴う活動が増え、この車は文字通り「縁の下の力持ち」として活躍してくれました。

高級車やスポーツカーを所有していた時期は「車と共に楽しむ」という側面が強かったのに対し、アイシスとの日々は「車に支えられる」という関係性が際立っていました。荷物を満載して展示会場に向かう途中、ふと思ったものです。「この車がなければ、今の再出発はできなかったかもしれない」と。

そう考えると、一台の車の価値とは何なのか、改めて考えさせられました。スポーツカーのような情熱や憧れを掻き立てる車ばかりが価値あるわけではなく、時には地味でも実用的に役立つ車こそが、人生の特定の局面では何物にも代えがたい存在になり得るのです。

トヨタ品質の信頼感

購入時、すでに5万キロ以上走行していたアイシスでしたが、私が所有した4年間、約3万キロの間、大きなトラブルは一度も経験しませんでした。オイル交換やタイヤ交換といった通常のメンテナンス以外で、修理工場を訪れることはなかったのです。

これは「さすがはトヨタ製」と唸らせる信頼性でした。特にビジネスの再構築期には、余計な出費や時間のロスは避けたいもの。そんな時期にトラブルなく日々の足として機能してくれたことは、本当にありがたいことでした。

また、中古車であったにもかかわらず、室内の経年劣化も比較的少なく、シートやダッシュボードの状態は良好でした。定期的な清掃と簡単なケアだけで、見た目も機能も維持できたことは、素材選びや作りの良さを示していると思います。

暮らしの中の相棒として

アイシスは、単なるビジネスツールとしてだけでなく、私の日常生活の一部としても重要な役割を果たしていました。買い物や友人との集まり、時には小旅行にも活用しました。

特に印象に残っているのは、久しぶりに訪れた軽井沢への小旅行です。スポーツカーで走れば爽快だったであろう山道も、アイシスではゆったりと景色を楽しみながらの走行となりました。それはそれで、また違った旅の楽しみ方があることを教えてくれました。

以前のような「走る喜び」を追求する車選びから、「使う便利さ」を重視する価値観へと変わっていく自分自身の変化も、この時期に感じるようになりました。それは年齢や状況の変化によるものかもしれませんが、車との付き合い方の多様性を学ぶ貴重な機会となりました。


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