私と車の物語:PORSCHE TAYCAN(2024-2024)

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こんにちは、畑岡です。

前回はアルピーヌA110GTについて語りました。今回は少々変わった経験となった、ポルシェ・タイカンについてのエピソードをお話ししたいと思います。

記念すべき10台目のポルシェ

私のポルシェとの付き合いは長く、これまで様々なモデルを所有してきました。そして2024年、記念すべき10台目のポルシェとなったのが、同社初の量産電気自動車「タイカン」でした。

しかし、この車には実に奇妙な特徴があります。それは、私が一度も乗車せず、1ミリも触れることなく所有期間を終えたという点です。

触れることなく売却した不思議な車

なぜタイカンに触れなかったのか?その理由は、この車が「限定車へのチケット」としての役割を持っていたからです。

ポルシェは限定モデルの販売において、過去の購入実績や特定モデルの所有状況などを考慮して、購入枠を割り当てることがあります。私はこれまでも多くのポルシェを購入してきたことで、それなりに限定車の割当をいただいてきましたが、このタイカンを購入することで、さらに特別な限定車の枠が回ってくる可能性が高まるというわけです。

奇妙な話ですが、ディーラーでは通常通り納車式が行われ、除幕式も行いました。しかし、私は最初から「乗らない」と決めていたため、セレモニーが終わった後も指一本触れることなく、そのまま売却手続きへと移行したのです。

電気自動車の現状と未来

こうした変わった形でのタイカン購入には、私個人の電気自動車に対する見解も影響しています。

タイカンはポルシェらしい走行性能と洗練されたデザインを持ち、電気自動車としては素晴らしい完成度を誇る車です。しかし、私は電気自動車全般において、現状のバッテリー技術では根本的な課題が解決されていないと考えています。

特にバッテリーのエネルギー密度については、現状の4倍程度にならなければ、本格的な普及は難しいでしょう。これは航続距離の問題だけでなく、車両重量や充電時間にも大きく関わる要素です。

また、インフラ面においても、各ガソリンスタンドに少なくとも10機以上の急速充電器が設置されるような環境が整わなければ、日常使いでの利便性は従来のガソリン車に及びません。

こうした観点から、私は電気自動車が本格的に普及するまでには、あと20〜30年程度の時間がかかるのではないかと予測しています。

コレクターの視点

自動車コレクターとしての視点からも、現段階の電気自動車には独特の考慮点があります。

ガソリン車であれば、適切なメンテナンスを行うことで数十年にわたって保存し、時にはさらに価値を高めることもできます。しかし、電気自動車、特に現在のバッテリー技術では、長期保存における劣化の問題が避けられません。

また、数十年後のバッテリー交換や電子系統のメンテナンスがどの程度可能になるかという点も不透明です。クラシックカーのように「味のある経年変化」を楽しむという文化が、電気自動車にも育つかどうかはまだ未知数と言えるでしょう。

ブランドとの関係

10台目のポルシェがこのような形での所有となったことは、一見するとブランドへの愛情が薄いようにも思えるかもしれません。しかし実際には、これはポルシェというブランドとの深い関係があってこそ成立する特殊な形の付き合い方でもあります。

限定車への強い希望があり、そのためにタイカンという先進的なモデルを購入するという選択は、ある意味でポルシェに対する強い思い入れの表れでもあるのです。

今後も様々な形でポルシェとの関係は続いていくでしょう。そして、いつの日か電気自動車の技術が本当に成熟した際には、改めてタイカンのような電動ポルシェを心から楽しむ日が来るかもしれません。

おわりに

ポルシェ・タイカンとの奇妙な関係は、私の車遍歴の中でも特異な一章となりました。物理的には触れることのなかったこの車ですが、私のポルシェ・コレクションの歴史と未来を繋ぐ重要な一台となったことは間違いありません。

自動車との関係は、必ずしも「乗る」「触る」ということだけではなく、時に戦略的な要素や未来への投資という側面も持ち合わせています。タイカンとの経験は、そうした多面的な車との付き合い方を象徴する出来事だったと言えるでしょう。

電気自動車の未来がどのようなものになるのか、そして私自身の車コレクションがどう変化していくのか。今後の展開に、私自身も興味を持って見守っていきたいと思います。

それではまた、次の車との出会いについてもお話しする機会があればと思います。


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